ビウダ・イ・ソブリーノス・デ・ドミンゴ・エステソ 1940年製が入荷しました。

〔楽器情報〕
ビウダ・イ・ソブリーノス・デ・ドミンゴ・エステソ 1940年製、このブランドでは大変珍しく横裏板に美しいフレイムメイプル(立体的な杢目のヴィジュアルが印象的)を使用したフラメンコギター。ボディシェイプやヘッドなどの外観的なデザイン、内部構造ともにエステソのギターを踏襲して、当時3人ともが20代の若者であったコンデ兄弟が作り上げた魅力的な一本です。

表面板力木配置は、サウンドホール上側(ネック側)に1本のハーモニックバーと一枚の薄い補強板、下側にも1本のハーモニックバー、同じくホール両側(高音側と低音側)には幅広でやや厚め(3mmほど)の補強板を1枚ずつ貼っており、くびれ部より下側は7本の力木が等間隔で平行に、ほぼまんべんなく下部エリアを覆うようにして配置されているという設計。クロージングバーや駒板位置の補強板はありません。レゾナンスはGの少し上に設定されています(A=440Hz)。

楽音としての全き実在性というべき、ギターとしての音の充実度が素晴らしい。タッチと音像とが無媒介に一致するような高いリニアニティとともに、濃密な音が生々しく現れて、その密度と明確な指向性を維持しながら終止にまで至ります。すみずみまで身振りがはっきりとして、旋律でのキレの良さ、和音でのバランスと構成音どうしの彫りの深さがあり、これがフラメンコ的なイディオムとの親和性を生み出しています。もちろん音量とそのダイナミズムも申し分ありません。さらに音色ですが、全体は基本的に明るい響きで、そこにメイプル材ゆえのほのかな翳もあり、これが表情に繊細なニュアンスを付加しています。

90年近くを経たフラメンコギターとしては良好な状態を維持しています。全体はセラック塗装仕上げ。表面板は指板両脇に割れ補修歴があり、その割れがロゼッタの一部にまで及んでいますが現状で落ち着いており、現状での使用には問題ありません。表面板はその他全体に弾きキズ、搔きキズ、打痕等ありますが経年による自然なレベルのものとなっています。ただしゴルペ板の高音側は一部にやや塗装の摩耗が目立つ箇所があり、サウンドホール横の低音側には3~5cmほどの搔きキズが多く見られます。横裏板は衣服等による摩擦あとや搔きキズが経年相応にあります。ネックは高音側がわずかに順反りですが現状のままとしています。フレットはおそらく近年に交換歴があると思われ、現状で適正値を維持しています。指板は1~7フレットでやや摩耗ありますが演奏性には問題のないレベル。ネックは薄めのDシェイプ、弦高値は2.7/3.0mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は2.0mmあります。糸巻は過去にスペインのブランド フステーロのラミレスタイプに交換されており、現状そのプレートの端部分がわずかに1mmほど木部からはみ出していますが、外観を損ねるほどではありません。全体の重量は1.30㎏。