山根 淳志 2026年製が入荷しました。

[楽器情報]
山根淳志 製作 ヘルマン・ハウザー1世モデル 2026年 Class 60 No.38 新作の入荷です。
これまではスペインの名工ホセ・ルイス・ロマニリョスへの優れたオマージュモデルを製作してきた山根氏が、歴史的にはこの「血統」をさらにさかのぼる形で取り組んだ初のハウザーモデルになります。ドイツのみならず、20世紀のクラシックギター製作における特異点にしてスタンダードとなってしまったヘルマン・ハウザー1世の究極の名器、1937年製セゴビアモデルの設計をほぼ忠実に採用し、オリジナルが持つクラシカルな厳しさや、ドイツ性とスペイン性とのハイブリッドな融合ともいうべき音響特性に肉薄するような完成度で仕上げられています。付言すれば、アコースティックギターやウクレレでの十分に本質的で確かなキャリアを築いている氏が、このようにクラシカルな音響特性を実に的確に、おそらくは生得の感性で掴んでしまっていることは稀有な現象と言えるでしょう。実に瞠目すべき新作となっています。

ハウザーの音響設計は後年そのドイツ性の強まりとともにより高度にバランス化されてゆきますが、上記のような構造的な特徴もあってか1937年の時点ではまだ多分にスパニッシュな、ある種野性的な響きのニュアンスも特性となっていることで、表現楽器として唯一無二のアイデンティティを有していることが知られています。

山根淳志の初のハウザーとなる本作は、まずはこのブランドらしい素朴で柔和な外観の佇まいが親しみやすく、細部の造りも繊細でとても魅力的なものになっています。そして音はクラシカルな気品と厳しさ、自然な緊張感を生み出しており、まさにセゴビアモデル的なキャラクターが十全に備わっています。やはりクラシックの楽曲における、和音でのまとまり、旋律での線的な持続感、ポリフォニックな遠近感などは特筆すべきものがあります。発音は硬質になり過ぎず程よい粘りと木質の感触を活かしており、このあたりの感覚も氏はハウザーのオリジナルに堅実にアプローチしており、その素直な着地がすがすがしい。

全面セラック塗装仕上げ。ネック形状はやや薄めのDシェイプ、弦高値は3.0/4.0mm(1弦/6弦 12フレット、サドル余剰0.5~1.0mm)となっています。ネックはグリップ感が良く、弦の張りは中庸ですのでストレスなく押さえられる感覚があります。糸巻きはGotoh 製ハウザースタイルのプレーンゴールド特別仕様を装着しています。

オマージュモデルとしてのトータルな完成度の高さ、そして山根氏自身の作家的なアイデンティティの充実度の点からも申し分のない一本、注目すべき新作です。