
清水 優一 2026年製が入荷しました。
〔楽器情報〕
清水優一 製作 オリジナルモデル 2026年 No.32 新作です。ヘルマン・ハウザーやホセ・ルイス・ロマニリョスへのオマージュモデルにおいて素晴らしく充実した作を世に出している製作家の、注目すべきオリジナルモデル。清水氏は本作において、「どこにも属さない音」を着地点として設定したと言っており、つまり「スペイン的」であるとか「南米風」であるといった定型に帰属しない音響を目指したということになるのですが、清水氏はその自分なりの(まさに文字通りオリジナルな)音を、これまでどおり極めて伝統的な工法によって作り出すことに成功しています。
その内部構造(表面板力木配置)はほぼヘルマン・ハウザーのセゴビアモデルと同じ、サウンドホール上側(ネック側)に1本のハーモニックバーと1cm幅の薄いプレートが横幅いっぱいに貼られており、下側(ブリッジ側)も1本のハーモニックバー、ホール両側(高音側と低音側)は各一枚の角型の補強プレート、左右対称7本の扇状力木と、これらの下端をボトム部で受け止めるようにV字型に配置された2本のクロージングバー、そして駒板位置にはほぼ同じ面積に薄い補強プレートが貼られているという全体の配置。レゾナンスはF~F#の間に設定されています。
撥弦の瞬間、木の樹脂がそのまま音像化したかのような、艶と粘性を備えたこのブランド独特の音が整った粒のようにして現れてきます。これは同時に弦の弾性による響箱のアタック感と、その容積を感じさせる奥行きを(いわゆるリヴァーブ感とは異なる、密度をもった空気感とも言うべきもの)備えており、とても力強い響きですが、これも清水氏らしい抑制がきいていて、そのぎりぎりのところで達成されるジェントルネスがなんとも心地良い。氏が言う「どこにも帰属しない音」はキャラクターを敢えて排した自然な音で、余計なものがないだけに純粋に音楽的な幻想を湧出すような瞬間があります。そしてその音自体は良く歌い、良く震え、繊細に変化します。
外観全体のデザインもまた、同じコンセプトが通底してるかのように自然な佇まいで、華美さも思わせぶりなところさえもなく、周到な仕上がりでありながら素材をそのまま提示したような姿は清々しくさえあります。全体はセラック塗装仕上げで、このどこか飴のような艶を湛えた仕上がりもいかにもこのブランドらしい。ヘッドシェイプはエンリケ・ガルシアのデザインを採用、ロゼッタは清水氏のオリジナル。糸巻はGotohのアルカンヘルモデルを装着。ネックはDシェイプでやや薄めの形状。出荷時の弦高値は2.5/3.5mmでサドル余剰は0.5mmとなっています。