
河野 賢 Professional-J 1997年製が入荷しました。
〔楽器情報〕
河野 賢 Professional-J 1997年(IA 1105)Usedです。河野氏最晩年の作になります。もっとも当時既にファクトリーとしての分業制を確立していたこのブランドの、モデル「Maestro」を頂点とするラインナップの中ではエントリーに位置づけられる本器は氏本人の手は監修といったところにとどまっていると考えられるものの、細部に至るまで氏の製作哲学が行き渡った完成度の高さはやはり見事と言えるでしょう。河野氏亡き後は桜井正毅氏がそれを十全に受け継ぎ、「桜井 河野」ラベルで本モデルも継続してゆくことになります。桜井氏が河野ギターをさらに(容赦なくと言えるほどに)計算による洗練を施してゆきシェアを拡大してゆきますが、河野氏が最後まで持っていたどこか角の取れた、柔和な力強さといったものに今も多くのファンが惹かれています。
撥弦の穏やかなアタック感とともに整った音像が跳ねるように立ち上がってくる、それと同時に響箱のたっぷりとした容積も感じさせるふくよかな響きで、これが奏者に一切のストレスを感じさせない演奏性とシンクロして備わっています。クラシックの楽曲へのオールラウンドな対応力があり、悠揚として厳か過ぎず、艶やかで明るく、常に安定した響きはこのブランドならではの高いアベレージが通底しておりやはり見事。
割れや改造など大きな修理履歴はありません。表面板の指板脇やサウンドホール周り、駒板下(1弦とび跡あり)などに浅く細かい弾きキズや擦れ等少々ありますがほとんど目立たないレベルです。また横裏板やネック裏もわずかに衣服等の摩擦あとがあるのみでとてもきれいな状態です。ネック、フレットなど演奏性に関わる部分での状態も良好です。ネック形状はやや薄めのDシェイプで、河野氏の設定はサイズ感に頼ることなく(やみくもにコンパクトなサイズで弾きやすさの解決とするのではなく)、とても握りやすい設定、になっています。弦高値は3.0/4.5mm(1弦/6弦 12フレット、サドル余剰0.5~1.5mm)と数値上は標準あるいはやや高めな設定になっていますが、これもネックの差し込み角度が絶妙な設定で、さらに弦の張りは中庸からやや弱めの感触なので左手はあまりストレスを感じることなく演奏できます。糸巻はGotoh製を装着しておりこちらも現状で機能的に良好です。ラベルには製作家の直筆署名あり。