
エドワード・B・ジョーンズ 1994年製が入荷しました。
〔楽器情報〕
エドワード・B.ジョーンズ 1994年製作 クラシックギター 640mmスケール仕様 Usedです。
例えば彼の師であるデビッド・ルビオが生涯にわたってジャンルを軽々と横断し続け、ポール・フィッシャーは科学的アプローチを導入し独自の音響を追及し、カズオ・サトーがモダンな潮流を積極的に取り入れた設計を開発してゆくなど、ルビオ工房出身者はとかく進取の気性に富んだ製作家が多いのですが、ジョーンズは独立後もルビオの教えをほぼ忠実に継承し、深い味わいのある楽器を作り続けました。
彼の楽器の特徴はいわば、まごうかたなき「英国性」ともいうべき正確かつ柔和な音の所作にあります。落ち着いた、しかし極めて厳密な音の動きの中にしっかりと楽音としてのニュアンスが宿っており、ここぞというところで十全に表出するような、その抑制の美学がなんとも素晴らしい。それは自然にクラシカルな楽曲表現と親和し、抑揚と色彩の変化をともないながらジェントルな佇まいの中に落ち着いてゆきます。
すっきりとした雑味の無い響きで、発音の瞬間から整った音像がさっと現れ、その密度を持続するので音楽が弛緩せず、旋律の細かなところまで明晰な身振りがゆき渡る感覚があります。これは例えば最弱音においてもそうで、弱音が「弱さ」に繋がってしまいがちなギターという楽器においては稀有であり、ここでのニュアンスを伴った強度の持続はなんとも心地よく、そして音楽全体に拡がりを生み出すのに寄与しています。実際に音量のダイナミックレンジは現代のギターとしては決して広くはないものの、どの瞬間にも音楽的表情が行き渡るその充実度は、音量依存の表現性を十分に補うものと言えます。
高音側にだけ短いバーを設置するこの設計の原型はルビオの1960年代ニューヨーク時代に製作したギターにまでさかのぼることができ、ロベール・ブーシェの有名なトランスヴァースバーを応用したものとされるこの構造を(ルビオの設計ではバーを力木が貫通する組み込みになっている)、エドワードはさらにシンプルに自身の設計に落とし込んでいます。