アルベルト・ネジメ・オーノ 2015年製が入荷しました。

〔楽器情報〕
アルベルト・ネジメ・オーノ(禰寝孝次郎)製作のサントス・エルナンデスモデル 2015年製 Usedです。その名の通り名工サントス後期の特徴的なヘッドシェイプを採用していますが、内部構造そしてその音響的特性は禰寝氏のオリジナルのものとなっています。本器が作られた2015年より数年後からは楽器が顕著に重量化し、ストイックさとロマンティシズムが異様なまでの密度で音響化した豪壮なギターへと変化してゆきますが、本作はそれに先立つ、ある種の繊細な美しささえ感じさせる一本となっています。

表面板力木配置は、サウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に1本ずつのハーモニックバー、ウェストより下側は左右対称7本の扇状力木とV字型に配置された2本のクロージングバーという設計。2本のクロージングバーは通常のギターではすべての扇状力木の下端を受け止めるようにしてボトム部に設置されるのですが、禰寝氏の設計ではボトムよりもややブリッジに近い位置で、7本のうちセンターと一番両端の力木との間を繋ぐようにそれぞれ一本ずつを設置し、残りの4本の力木の下端のみ受けとめるような配置関係になっています(センターと両端の力木はその下端をボトムのすぐ近くまで伸ばしています。レゾナンスはG#の少し下に設定されています。

弦の運動と木の弾性とが絶妙に作用しているかのように、適切としか言いようのないほどの心地よい粘りと反発感を伴った発音で、跳躍するようにして現れる音像は密度があり、終止までその強度を楽音的ニュアンスとともに維持します。重すぎずしかし重厚な低音、雄弁な中低音、そしてシャープで力強く、良く歌う高音へと至る心地よい音響バランスはいかにもスペイン的ですが、例えばサントスの異なるいくつものベクトルを内包したある種室内楽的な彫塑性とは異なり、全体がひとつの有機的な音響体であるかのような極めて西洋音楽的な洗練が際立っています。ここで禰寝氏が作り出した響きは雑味がなく、あらゆる音楽的な身振りと表情(特にクラシック音楽における)のポテンシャルを有し、明るい音色はしかし慎ましく時にチャーミングでさえあるような奥ゆかしささえ感じさせ、その抑制と発露の振幅がなんとも魅力的な個性となっています。

全体はセラック塗装仕様で過去に再塗装等の履歴はありません。表面板は指板両脇やサウンドホール付近、駒板下部分などにそれぞれ数か所の浅く軽微な1~2cmほどの搔きキズがあります。横裏板はとてもきれいな状態を維持しています。割れや改造などの大きな修理歴はありません。ネックはとても良い状態を維持しており、フレットは1~2フレットでほんのわずかに摩耗見られますが演奏性には影響ありません。ネック形状は普通の厚みのDシェイプ、弦高値は2.4/3.2mm(1弦/6弦 12フレット)とクラシックとしてはかなり低めの設定でサドル余剰は0.5~1.0mmとなっています。指板は高音側20フレット仕様、指板脇には5フレットと7フレットにポジションマークがあります。糸巻はイタリア製高級ブランドのAlessi 製を装着しており現在機能的な問題はありません。重量は1.67㎏。