
アベル・ガルシア・ロペス 2019年製が入荷しました。
[楽器情報]
アベル・ガルシア・ロペス製作 2019年 RI 2、オリジナル設計とデザインによるモデル、貴重なUsedです。トーレスを起点にハウザー、ミゲル・ロドリゲスを通過してロベール・ブーシェへと至る製作史の最先に自らを置き、それらのエッセンスを再解釈、再構成して自身の感性の中に自然に着地させたモデル。伝統的で、しかし同時に絶対的に新しい音響は優れて21世紀的な先鋭と清新さがあり、実に瞠目すべき一本となっています。
音も素晴らしい。いかにも中南米的な、湿度を含んだような独特の奥行きとともに全体を優しく支える低音、慎ましく役割を全うするかのような佇まいの中低音、艶やかでジェントルな高音へと至る絶妙のバランス。タッチよりもわずかに前のめりな感覚の素早い発音は心地よいドライブ感を生み出し、音像はその洗練と密度を終止まで維持するので、旋律の身振りがすみずみまで自然に冴えてゆきます。強弱のダイナミズム、音と音との彫りの深さだけでなく、音色の変化だけでも深い遠近感を生み出せるほどの繊細な色彩感があり、また旋律は有機的に繋がり一つの全体を構築してゆくのでこの意味でまさに「小さな管弦楽」を具現化しているとも言えるのですが、特に最弱音での、消え入りそうなほどの瞬間においても弛緩することなく弱音としての「強さ」を維持しながら美しいロマンティシズムが表れてくる、その音楽的な表現力は特筆すべきものがあります。
確かな目による木材の選定と、これもいかにも中南米的な雰囲気を演出する黄(表面板)と赤茶(横裏板)を基調とした外観の佇まい、洒脱なアクセントとしてのロゼッタデザイン(プレ・コロンブス期、つまりパラチョに古くから土着的に伝わる文様がモチーフになっているとのこと、当然のことながらこの細工も実に精緻で美しい)やさりげなく特徴的な杢目の材を使用したインレイ、セラック塗装による上品な仕上げ等々もまたこのブランドの特徴を雄弁に語っています。
とても良好な状態のUsed です。割れや改造などの大きな修理履歴はありません。塗装は出荷時オリジナルのセラック塗装。表面板はサウンドホール付近にわずかに細かな傷があるのみで、他は通常使用による自然な塗装のムラが見られますが、それぞれほとんど目立たない程度ですので外観はとてもきれいな状態を維持しています。裏板はおそらく支持具を装着したであろう形跡や軽いスクラッチなどが見られますがいずれも浅くほぼ塗装上にとどまっていますので外観を著しく損ねるものではありません。横板、ネック裏も綺麗な状態です。左右横板のボトム部での接合部分はインレイ縁に沿ってわずかに塗装の段差を生じていますがこちらも経年の自然な変化の範囲内にとどまっており、今後の継続使用には問題ありません。ネック、フレット、糸巻き等の演奏性に関わる部分も良好です。ネック形状はCに近いほどにラウンド感のあるDシェイプで薄めの加工、弦高値は2.5/3.8mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は1.0~2.5mmとなっています。ボディ全体の重量は1.67㎏。