栗山 大輔 2026年製が入荷しました。

〔楽器情報〕                                   
栗山大輔製作 80号マルセロ・バルベロ1世モデル 2026年製 No.131 新作の入荷です。その名のとおり20世紀スペインの名工中の名工マルセロ・バルベロ1世(1904~1956年 マドリッド)のオリジナル設計に忠実に、その音響的特徴に至るまでを極めて高純度に作り上げたオマージュモデルの傑作と言える一本です。栗山氏がトーレスから始まるクラシックギターの「正統」をまるでなぞるようにしてマヌエル・ラミレス、サントス・エルナンデス、ドミンゴ・エステソ、ヘルマン・ハウザー1世へのすぐれたオマージュを製作していることは彼の製作哲学の具現的作業として知られるところですが、20世紀のちょうど真ん中でスペインギターの至高点となる仕事を残してその生を終えるバルベロ1世へのオマージュモデルは、氏のラインナップの中でも必然的に一つの到達点となる素晴らしいギターとなっています(氏はほかにも見事なロベール・ブーシェ オマージュを製作していますが、ブーシェでさえもバルベロ1世の影響下にあることはギター製作史の重要な点として確認しておくべきでしょう)。

歴史の上ではサントスの発想から出発し、それを洗練させ切った先に原理だけが生々しく姿を現したようなバルベロのギターの特徴は、撥弦の弾性と木の弾性とが反発しあい音を精製してゆくメカニズムにおける、いわゆる連成振動の極めて特異な凝縮点の設定ということになると言えます。バルベロのあの柔軟な硬質さともいうべき発音特性、それが生み出す音の彫りの深さ、ストイックでありながら十分すぎるほどにロマンティックな表情は、サントスが目指したギターの汎西洋化の一つの到達点とも言えるでしょう。

栗山氏は本器において、そうしたバルベロ的な特性を十全に備えつつ(これだけでもすごいことなのですが)、これを完璧な音響バランスの中にまとめ上げ、音の粒はきれいに揃い、さらには氏の特徴である明朗さ柔和さが加わり、誰もが心地良くそして深く音楽を楽しむことのできるギターとして自然に着地させています。

全面セラックによる非常に美しい仕上げで、バルベロの特徴的なヘッドシェイプとロゼッタデザインも程よいアクセントとなり、全体に気品のある爽やかな佇まい。ネック形状はDシェイプのフラットでやや薄めの造り、弦高値は出荷時で3.0/4.0mm(1弦/6弦 12フレット、サドル余剰は2.0mmほど)となっています。糸巻はGotoh 製を装着。ボディ重量は1.45㎏。