
堤 謙光 2007年製が入荷しました。
〔楽器情報〕
堤謙光 製作 モデルNo.80 2007年製 Usedです。このブランドのラインナップの中ではハイスペックなモデル。本器は640mmのショートスケールモデルで指板高音側は20フレット仕様、表面板はセラック、横裏板はカシュー塗装で仕上げられており、横裏板は良質な中南米ローズウッドを使用しています。640mmの仕様に合わせ、ここでは手の小さめなプレイヤー向けの設定がさらに意図的に採用されており、ナット幅(0フレットの幅)が48mm、弦幅(1弦から6弦の間隔)は40mm、同じくサドル上の弦幅は55mmといずれも狭い設定となっているので演奏時はかなりコンパクトなサイズ感になっています。またネックの形状に関してもDシェイプの角の取れた丸みのある形状に加工されていますので、左手のサイズ感でお悩みの方にはおすすめ。またこうした仕様でも鳴りはしっかりと力強く、弦長が短いことによる「デメリット」は一切感じさせないところもショートスケールのユーザーには嬉しいところでしょう。
この設計は堤氏が敬愛すると公言するアメリカの製作家マヌエル・ベラスケスが1970~80年代にかけて採用していた設計と類似するもので、さらにもとを辿ればスペインのマドリッド系の一部の製作家に特徴的といえる構造なのですが、堤氏はここでスペイン的な響きよりもやはりベラスケスに倣いドイツ的な音響設計の方を志向しているのが特徴といえるでしょう。全体に同一の位相のなかで彫りの深い響きを構築するハウザー/ベラスケス的な音響をベースに、明るめの、ほどよく柔和で硬すぎず、よくまとまっており、反応の鋭敏さ(左手の反応もとても素早くすぐれています)、適切な表情の変化もあります。
裏板のネックヒールの高音側と低音側の位置から数センチの長さで割れ補修履歴あり、また同じ裏板の下部センターよりやや低音側にも割れ補修歴があり、それぞれ内側からのパッチ補強がされています。その他は割れや改造などの大きな補修歴はありません。キズは少なめで表面板の指板脇からサウンドホールまわりにかけてや駒板下などにやや弾き傷や打痕、掻き傷などはありますが、その他は軽微な傷のみとなっています。裏板は上述の割れ補修後に上塗りまたは再塗装処理が施されており、現状でとても綺麗な状態です(割れ補修も非常に丁寧な処理がされていますので全く目立ちません)。ネック裏もきれいな状態。ネックは反りもなく、フレットも適正値を維持しており演奏性に関する部分も良好な状態です。弦高値は2.8/4.0mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は1.0~2.0mmあります。糸巻はゴトーの35G510シリーズのマットなプレーンプレート仕様を装着、こちらも現状で機能的に良好です。スペイン製シベレスハードケース付属。