ワルタル・ヴェレート 2018年製 が入荷しました。

[楽器情報]                                   
ワルタル・ヴェレート 2018年製作 No.249 Used美品が入荷致しました。表面板の力木を格子状に配置したいわゆるLattice Bracing 構造を採用したモデルで、彼の現在のラインナップではトラディショナルな扇状配置(トーレス的な伝統を踏襲したもの)と並んで重要なアイテムとして人気と高い評価を得ています。Lattice というとまずはグレッグ・スモールマンに代表されるオーストラリア派ギターの特徴である大音量、俊敏な反応性、発音の均質性などが思い浮かぶところですが、ヴェレートはギターにとっての「難点」とされてきた部分を完全に克服したとされるこれらの機能性の高さについてはある程度の評価を与えつつも、そこには伝統的なギターが持っている「色彩」が欠如していると考えました。そしてあくまで表現楽器としてのギターを優先し、そこにコンサートギターの機能性を備えたモデルとして、彼は独自の方法でLatticeを採用し、音色楽器としてのトータルクオリティを全く損なわず見事なギターを作りあげています。

しっかりと奏者のタッチに寄り添うような発音の反応性が心地よく、自然にドライブしてゆく感覚はモダンギター的と言えますが、ヴェレートはここでダイナミックな迫力よりもむしろ上品な表情を全体に加味し、慎ましくそして美しい音響を創出するのに成功しています。その表情は優しく、きりっとして、あくまでも紳士的な佇まいがいかにも西洋音楽にふさわしい。また彼のこだわりである演奏性の高さも十全に備わっており、かなり薄めのDシェイプで角の取れた形状のネックはコンパクトでかつ弦の張りも中庸なので左手は押さえやすく、また右手は上記のように発音にストレスがないので両手共に無駄な力を入れずにしっかりと音を出せる感覚があります。

木材の選定や外観の仕上がりにも強いこだわりを見せるこのブランドだけに、その全体の佇まいもやはり慎ましくも非常に上品で美しい。特筆すべきはロゼッタの造作で、濃いブラウンとベージュを基調として極めて繊細、精緻な細工による仕上げ、全体の気品に寄与しています。オーストラリア派のギターにおいては横裏板の厚い加工などにより2Kgを超えるような重量級のものがほとんどですが、ヴェレートのギターは板全体の加工も伝統的なスタイルで作りあげており、そしてこれも繊細極まりないセラック塗装仕上げで、やや軽めの1.50Kgとなっています。

ベルギーの巨匠によるモダンギターへの一つの究極の解答ともいえる秀逸な一本。貴重なUsedでの入荷です。

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