
井内 耕二 2012年製 が入荷しました。
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[楽器情報]
井内耕二 2012年製 serial No.27 Used の入荷です。年齢としては間もなく70に近づこうという時期のものですが、50の歳から製作を始めた氏にとっては知と技の面での充実が顕在化しはじめた頃と見て取ることができるでしょう。意匠も含む外観における工作精度的な完成度はかなり早くから達成されていたことが本器からもうかがえますが、ここで注目すべきは内部構造(力木設計)における試みとその音響的特徴と言えます。
発音はボディの奥から木質の音像がパーカッシヴに弾けてくるような感触で、ボディの容量を活かしたエコー感を伴って鳴ります。高音の強さが際立っており、低音はどっしりと下から支えるというよりも高音と同じ位相において慎ましく適切な強さで鳴っています。これは先述の内部構造的特徴におけるマドリッド的な部分が活かされているものか、ラミレス系統の響きの特徴と重なる部分が多くあります。ただし本器においては、特に音色や表情において、ラミレスの濃厚な色気とは異なり全体に爽やかな明るさがあり、あくまでもそのキャラクターにおいては氏の特徴が前面に出ている一本となっています。
表面板の指板両脇からサウンドホールにかけてのエリア、駒板下からボトムにかけてなどに細かな弾きキズやスクラッチ跡がありますがさほどに深くはなく外観を損ねるほどではありません。横裏板は演奏時に胸の当たる部分などに若干の擦りキズみられますがその他の部分はほとんどキズ無くきれいな状態を維持しています。ネック裏はセンター部分に細かく爪キズはありますが浅く軽微なもので目立たず、また演奏時の感触的にも妨げになるほどではありません。割れなどの大きな修理履歴もなく、概ね良好な状態と言えいます。ネック、フレット、糸巻などの演奏性に関わる部分も良好です。ネックはややしっかりとしたグリップ感のDシェイプ、弦高値は2.3/3.5mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は0.5mmとなっています。糸巻はドイツ製高級ブランドのライシェル製を装着。