ヤマハ GC-30B 1979年製 が入荷しました。

[楽器情報]
YAMAHA グランドコンサートシリーズのGC30B 1979年製 No.479 江崎秀行製作のUsedです。1967年から始まるGCシリーズはマヌエル・エルナンデスの直接の指導を受けた江崎秀行や加藤俊郎らによる1974年(※江崎秀行氏の公式サイトでは1975年から製作を開始と記載)発売のエポックメイキングなモデルであるGC30(A、B、Cを別々の職人が担当)でYAMAHAのクラシックラインの確固たる土台を築き上げますが、当時の空前のブームやスペイン製への需要の高まりに対するこのブランドの対応力はすさまじく、充実したラインナップを世に出してゆきます。

本作、江崎秀行作の「B」はまさしくその嚆矢となった、ヤマハファンの間ではなかばレジェンダリーなモデル。スペインの工法を直に学びながら、ヤマハというブランドのマーケット戦略にも同時に適うような音作りと商品としての精密さはやはり見事なもので、現在は海外ユーザーの人気も高いモデルとなっています。

表面板内部構造はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に1本ずつのハーモニックバー、このうち下側のハーモニックバーの中央から高音側横板に向かって斜めに下りてゆくように配置された1本のトレブルバー、扇状力木は計6本がセンターに配置された1本を境にして高音側に2本、低音側に3本が設置されています。ボトム部にはこれらの扇状力木の下端を受け止めるように逆ハの字型に配置された二本のクロージングバー、そして駒板の位置には薄いパッチ補強板が貼られているという構造で、エルナンデス・イ・アグアド的配置の影響が顕著に見て取れます。レゾナンスはG#の下に設定されています。江崎氏は同じ30Bでも個体によっていくつもの力木配置を採用していますが、全体としてアグアドのモデルを基本としての配置であることは一貫しています。

たっぷりとし低音からくっきりとした点のような高音へと至る自然なバランス、体感的に非常に迫力のある鳴り、気持ちの良い発音など、ヤマハブランドが構築したバランスフルな「スペイン的音響」のコンセプトが実に行き届いており、楽しめます。スペインギターが本質的に備えている室内楽的な奥行きを持った響きとは異なり、むしろフラットに整ったバランスが追求されているので、演奏には自然に安定性が生まれます。

割れなどの大きな修理履歴はありません。表面板全体にキズありますが、特に指板両脇からサウンドホール高音側にかけてのエリアは演奏による細かな打痕やキズが多く見られます。また同じ表面板の駒板下部分は弦交換時のキズや、そこからボトムにかけてのエリアは搔きキズや打痕等が数か所見られます。横裏板は衣服等による細かな摩擦あとや、横板は塗装の内部変色などがありますがさほどに目立つものではなく、年代考慮すると良好な状態と言えます。ネック裏は2フレット位置にやや深い爪キズありますがその他はきれいな状態。ネックは真直ぐを維持しておりとても良い状態ですが、フレットは全体にやや摩耗あり、特に1~6フレットで目立ちますが音や演奏性への影響まではないレベルです。指板は1~7フレットでやや摩耗あります。ネックシェイプは普通の厚みのDシェイプ。弦高値は2.5/3.5mmの弾きやすい設定、サドル余剰は1.0~1.5mmとなっています。

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