ギターの作り方は色々あり、細かく見れば製作者でそれぞれ違います。一世、二世と受け継がれていくものや、改良されていくこともあります。個人的な好みですが1960年代位までの楽器にいいものが多くある気がします。
これは30以上年弾き込まれたからいい音色になった、という理由ばかりではないと思います。半世紀ほど前までは、膠やセラックが普通に使われ、機械も手道具の延長位のものでした。しかし戦後の近代化は、ギターの作り方にも変化をあたえ、新しい接着剤や塗料、効率のいい機械に、新素材まで色々出てきました。この作り方の変化は音色にも影響を与えます。
スペインの制作家達は、自分の仕事に誇りを持ち、頑固で、今でも伝統を守り続けている人がいます。より早く、より正確に、より綺麗に作るのは、ギター作りにとって大事な事ですが、今は昔ながらの作り方に興味があります。
● 口輪の制作
写真1~11は口輪の制作です。出来上がった口輪を埋め込む方法もありますが、ここでは中央のブロックと両縁の飾り板を同時に埋めていきます。
この工法だとブロックと飾り板の組合わせによって、何種類ものデザインが出来ます。ですから口輪は1種類ではなく、毎回のように変えています。
写真1~4までは、herring bone(鰊の骨)という矢羽柄を作るための基本作業で、トーレス、フレタ、ハウザーなど数多くの制作家が色々なパターンでデザインしています。