次に続く[スパニッシュギターの起源]の小見出し部分は次の様に始まります。
クラシックギターという楽器における「伝統」とは何でしょうか。
撥弦楽器としてのその歴史は遠く古の世にまで遡らなくてはなりませんが、ことスパニッシュギターと巷で呼ばれる楽器は19 世紀初めスペインに生まれたアントニオ・デ・トーレスのギターに端を発しています。彼によって、現在にまで至るクラシックギターの完璧な原型が初めて提示され、彼が亡くなった後も、製作史のみならずギター演奏の歴史さえも巻き込んで主要な潮流を形成して行くことになるのです。そうした意味で、我々はギター界におけるストラディヴァリウスと位置付けられるトーレスから始まるこの系譜を、クラシックギターの伝統と呼ぶことができると言えます。
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