5月17日の日曜日、折しも浅草の三社祭と入谷の小野照埼神社の大祭が重なり、アウラの周辺はすっかり祭り気分。
朝から神輿を練り歩く威勢の良い法被姿の若者達の掛け声とお祭りの太鼓の音が響いて、これは折角のイベントが祭りの音にかき消されてしまわないかと心配になったものの、幸い午後になると本宮へ戻る準備に入ったのか通りには日曜日らしい静寂が戻って来て一安心。

アウラのオンラインショップでも好評の「これからはじめる!! クラシック・ギター入門: これだけは知っておきたい すべてが見て・弾ける DVD付」出版を記念し、著者であり演奏も担当したギタリストの田嶌 道生氏を迎えたトークイベントは、祭りとは異なるギターを愛好する満員のお客様の熱い視線をあびながら登場した氏の軽妙な演奏とトークで始まりました。

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当日のプログラムも先ずはラテンムードたっぷりの  エル・コジータ/ A.ユパンキ で幕開け。

そしてDVDの製作にあたって顔の手入れに余念がなかったものの、映ったのは手だけであったとのトークでお客様の笑いを誘いつつ収録局のなかから 自ら初心者が無理なくギターの音色と旋律を楽しめる様作曲した エチュード、あそび、カノン(DVDより) / たしまみちを の3曲を披露。

そして、長年に渡り手がけてきた曲集や編曲集の中から、ヨーロッパの長い歴史に培われたギターに縁のある音楽から、
シチリアーナ /16世紀イタリア曲 と 人間の声/M.マレ を披露してその典雅な世界に聴衆をいざなった後は、自ら長年愛用する名器、ベレサール・ガルシアの話と、彼に会うためにスペインまで訪れた感動的な秘話を、写真とともにしみじみと、そしてユーモアたっぷりに語ってギターの持つ不思議な魅力と歴史について聴き手を、その楽器の故郷スペインの地へと導いて行くおもむき。

そして、その伝統を引き継ぐ今最も旬な製作家尾野薫 のギターに持ち替えて、今度は19世紀ロマン派へと時代を下りジムノペディ1番/E.サティ を演奏。 瑞々しくも端正な音色がサティのエキゾチックな曲風を際立せました。

更に彼の持つ名器ベレサール・ガルシアの師であり、義父が製作した世界的名器として知られるアグアドで、 ノクターンp.9-2/ F.ショパン を披露。 
多くのショパンの楽曲をギターに編曲し、その功績もあって毎年ポーランド祭のゲストして招聘されていることも、むべなるかなと思わせる如実に感じさせる演奏で、その美しい旋律はギターにも相応しいことを証明。
拍手に応えて後でもう一度、このアグアドで演奏しますと約束する一幕もありました。

その後は、満を持した彼のベストセラーの一つである映画音楽の編曲集から ニュー・シネマ・パラダイス/E.モリコーネ  さよならの夏~コクリコ坂から~/坂田晃一  を演奏。 更に自らの演奏者としてかかわった映画、 そこのみにて光輝く/田中拓人 の製作にまつわるエピソードを交えて演奏。

更に若い人には少し遠い世界となったフォークソングの世界から、 あの素晴らしい愛をもう一度/加藤和彦 風をあつめて/細野晴臣  夏の終わりのハーモニー/玉置浩二 を演奏し、アンコールには聴衆の要望に応えて再びアグアドに楽器を持ち替えて、アストロノータ(宇宙飛行士)/B.パウエル(アグアド使用)で華かな楽しいフィナーレを飾った、感動的なトークライブでした。

余談ながら、当日コンサートの後に参加されたお客様から頂いたメールの一部をご紹介します。

〔今日は楽しい時間をありがとうございました。田嶌さんのライブ、素晴らしかったです。
尾野さんのギターも、とても良い音でしたし、アグアドのギターが、何と言っても素晴らしい音色でした。
アウラでこその弾き比べを、堪能させていただきました。〕

〔田嶌さんの演奏をあんな至近距離でそして親密な空間で聴かせて頂けてとても贅沢なことでした。 貴重なギターの聴き比べはとても興味深かったです、 ショーケースから鍵をあけて取りだされる名器、臨場感あふれていて、そんなこと滅多に目に出来ないこと、本当にアウラでしかできませんね、それぞれの音色の違い、私でもかすかには判ったような、会場の皆様も大満足だったと思います。〕

 

 

素晴らしい演奏と共に曲間の軽快なトークで笑いを誘い、ご参加いただいた多くのお客様にご満足頂けたのではないかと思っております。

なお、当日の模様を一部ドレミ出版社様がアップしておりますので是非ご覧ください。

「名器弾き比べ」で紹介した楽器は次の通りです。

尾野薫 ブーシェモデル 2015年
エルナンデス・イ・アグアド 1963年 

次回のサロンコンサートは、6月14日(日)アレクシス・バジェホス 名器弾き比べサロンコンサート
こちらも残席少なくなってきております。

観覧希望のお客様はおいそぎください!