ホセ・ラミレス 3世 1959年製 が入荷しました。

〔楽器情報〕
ホセ・ラミレス3世 1959年製 Used 珍しい一本が入荷です。本器が製作される2年前の1957年に2世が亡くなっており、3世のもとラミレス工房はいよいよあの豊穣の時代へと突入してゆきます。59年の時点ではその移行期といえるものの体制は整いつつあったらしく、パウリーノ・ベルナベやマリアーノ・テサーノスといった熟練職工達は既に自身の製作した個体にイニシャルを刻印して出荷しており、楽器もマドリッドのオールドスクールな作風から後の「1A」モデルへとつながるステージパフォーマンスをより重視したものへ顕著な変化を見せてゆきます。

本器はそのような時期のラミレス工房において、60年代への移行期の作というよりもむしろ先代そして先々代のニュアンスを多分に残した古き良きマドリッド派の音色が体感できる魅力的な一本となっています(製作担当者のイニシャルの刻印はありません)。ラベルはいわゆる「Blue label」で2世の時代からのものがそのまま使用されています。ボディはトーレスのそれを想起させるほどに(つまり19世紀のギターのように)ほどよく小ぶりなもので、重量も1.23㎏と軽く造られています。ヘッドシェイプも1世からのものを踏襲し、ロゼッタもシンプルな同心円デザイン。19世紀的な生々しい木質感が特徴の響きで、例えば1964年以降の3世の有名な1Aモデルでは高音を前景化させる独特のパースペクティヴをもった艶やかな音響が特徴ですが、本器はすべての音が彫塑的に前景化してくるような素朴な力強さがあります。

表面板内部構造はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に一本ずつのハーモニックバー、サウンドホール両脇に1枚ずつの補強プレート、左右対称7本の扇状力木という全体配置で、クロージングバーや駒板位置の補強プレートは設置されておりません。7本の扇状力木はその要が低い位置に設定されているため7本すべてがサウンドホールを中心にしてボトム方向に大きく広がっているような扇形になっています。レゾナンスはAの少し下に設定されています。

詳細は上記画像をクリックしてご覧下さい。