尾野薫 製作楽器の音色を楽しむ
演奏:池田慎司
[製作家情報] 中学生の頃からギターを弾き始め、大学の木材工芸科在学中その知識を活かして趣味でギター製作を開始。1980年頃よりアントニオ・マリンの弟子のアルベルト・ネジメに師事し、 スペインの伝統的な工法を学び、本格的に製作を始ました。その後も伝統的な製作技法にこだわり、2001年にはスペインに渡り、ロマニリョスの製作講習会にも参加するほか、アルカンヘル・フェルナンデスにも製作上の貴重なアドヴァイスと激励を受け、現在もスペイン伝統工法を科学的に考察し理論的に解析研究し製作を続けています。年間製作本数は多い時で10本程度と少なく、透明な音と伸びバランス、音の分離等秀逸で弾けば弾くほど手放せなくなるギターです。
〔特徴〕 尾野薫氏が満を持して製作したオリジナルモデルです。トーレス、ハウザー、ロマニリョスの構造的原理、音響のシステムを長年研究し、その上での自身の製作哲学の一つの帰結として製作されています。その音響は透徹を極め、非常に高度なバランスを達成しており、西洋音楽の厳密な構造とも呼応しうる厳しさも併せもっています。内部構造は7本の扇状力木を配置し、その両端の力木がサウンドホール下のハーモニックバーをくぐってサウンドホールの上端部分まで延びています。ボディ下部部分はハの字型で7本の扇状力木を受け止めるような構造。もちろん造作の精緻さと完成の細やかさはここでも十全に表れており、その気品ある外観もまた非常な魅力となっています。レゾナンス(ウルフトーン)はGの少し下に設定されています。