-「マドリードの名工、バルブエナが亡くなりました。本山さんは親しくされていたのではないかと思いますが。」
本山「以前から持病があって、あまり体調がよくなかったのですが、12月12日(水)の午前4時ごろ心臓発作を起こし、救急車で病院に運ばれて、そのまま息をひきとったそうです。」
-「バルベロ・イーホに続いてバルブエナが亡くなったというのは大きな損失ですね。」
本山「人柄もとても誠実で気持ちのよい人でした。言わば同僚だったバルベロ・イーホに通じるところがありました。」
-「バルブエナは、はじめラミレスの工房で製作していましたよね。」
本山「そうです。ラミレスIII世の工房の主要な職人でした。ラミレスIII世が書いた「Things about the Guitar」(英語版)の最後に明記されています。その後独立し、アルカンヘルの工房を手伝いながら手ほどきを受け、サントスからバルベロI世、アルカンヘルと続くスペインの伝統的な響きをもったギターに傾倒していきます。」
-「響きもアルカンヘルやバルベロ・イーホに近いのですか?」
本山「基本的にはそうですが、男性的な線の太さに加えて独特の甘さというか、色彩が感じられます。高い技術をもっていて、作りもしっかりしていましたし、緻密な音作りに魅力があり、まだまだ頑張って欲しかったと思います。」