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海外クラシックギター専門誌ORFEO「日本の製作家」取材レポート

「Orfeo」という雑誌をご存知ですか?

フランス、パリのアート系書籍の出版社Camino Verde社が2013年より年2回のペースで発行しているクラシックギターの専門誌です。

と言ってしまうとどこの国にでもある、いわゆる演奏家、作曲家と楽曲、コンサート情報と愛好家どうしのコミュニティが主なコンテンツである普通の音楽雑誌を想像しますが、この「Orfeo」は徹底的にギターという楽器と製作家、そしてそれらの背景となる伝統と文化とをメイントピックとした独特な編集方針とその充実した内容で、ヨーロッパをはじめとする世界中で高い評価を受けている雑誌です。何より素晴らしいのは、トーレスなどの何人かの歴史的な銘工を除き、取り上げられている製作家のすべてが現役であること。そして彼らの製作に対する美学と哲学、ギターの特徴(その作り手にしかわからないような)、製作家としての歩みなどを簡にして要を得たインタビューで紹介するとともに、まさにそれらの楽器が生み出される現場としての工房を、生々しくも美しい写真で伝えていることでしょう。

これらのインタビュー、写真撮影からおそらく全体のアートデイレクションもつとめているAlberto Martinez 氏(御年75歳!)は、ほんの何年か前までBMW、MINI COOPER、CITROENなどの高級車のオフィシャルイメージとなる写真を撮影しておられたプロカメラマンで、その腕前はもちろん、写真というアートだけが為しうる表現に対するこだわりとその審美的センスは素晴らしく、彼によって撮られた工房の写真はそのさまざまな道具から作業台に刻み込まれた傷に至るまで、職人の手が生み出した時間のトレースとしての光彩を放っています。もちろん楽器本体の写真の美しさ、書物全体としてのレイアウトや構成もやはり特筆すべきもので、アートブックとしても永久保存版にしたくなるほどのクオリティを創刊から現在まで維持し続けています。

 

現在までに14号を発刊し、第1号から5号までと、第6号から10号までをそれぞれ合冊版として1冊にまとめたもの出版されており、現在アウラ店頭とオンラインショップにて入手可能です。
オルフェオ マガジン合冊号(1-5)
オルフェオ マガジン合冊号(6-10)

 

このOrfeo Magazine が日本の製作家を特集する号を企画しているとAlberto 氏からAURAにオファーを頂いたのが一昨年の2018年。日本のギター製作の現状とこれまでの歴史を私たちと相互に確認を取り合いながらお話を進めさせていただき、そして彼はアルベルト・ネジメ・オーノ(禰寝考次郎)、尾野薫、田邉雅啓の3人を取り上げることを決定します。資金繰りやスケジュールの調整などの困難があり企画自体が一時危ぶまれたものの、なによりもAlberto 氏の情熱がすさまじく、遂に今年に入り来日が決定、次号での日本特集に向け、数日に及ぶ来日取材が行われました。

取材を行ってゆくうちに3人の他にもその次を担う世代の製作家達として、禰寝碧海、栗山大輔、清水優一もまた誌面で紹介してゆくということになり、AURAは彼らすべての工房での取材に同行しました。2020年初夏に発刊される予定の次号 Orfeo Magazine 日本特集号に先立ち、これから数回にわたりその取材の様子をお伝えしてゆきます。

写真は尾野薫工房での撮影風景、AURAショップでのAlberto氏と田邊雅啓、3枚目はPCでデータを見せながら製作家と(右から尾野薫、中野潤、Alberto氏、田邊雅啓)

 

海外クラシックギター専門誌<ORFEO> 「日本の製作家」特集 取材レポート① 尾野薫 編

海外クラシックギター専門誌<ORFEO> 「日本の製作家」特集 取材レポート② 禰寝孝次郎 編

海外クラシックギター専門誌<ORFEO> 「日本の製作家」特集 取材レポート③ 田邊雅啓 編

 

アウラ提携製作家紹介ページ


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