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ヘルマン・ハウザーⅠ世  Hermann Hauser I (1882~1952)

ドイツのミュンヘンで活躍した父、ヨゼフ・ハウザーはチターの奏者で、同時に製作と作曲もこなす

多彩な才能の持ち主であった。この影響を受けたヘルマンは18才からチター製作所で仕事を始めたが1905年には独立を決意し、ギターやリュート製作にも手を染めることになる。また彼自身もミュンヘン・ギター四重奏団の奏者としても活躍していたこともあり、彼は合奏用ギターや、小型のフランス派のギター、ウインナー・モデル、そしてリュートをも手掛ける様になっていた。

そうした折、タレガの高弟のミゲル・リョべ-トと知遇を得て、その愛器トーレスを知ったヘルマンはこの楽器に惹かれ、リョべ-トの助言を得つつ研究し、それを機に製作の中心をスパニシュギターへと移すことになる。そしてその研究に没頭していた1924年には、若き日のセゴビアもドイツに訪れ、トーレスより音に迫力と深みを増す新機軸を盛り込んだマヌエル・ラミレスをヘルマンに見せている。

このギターに驚いたヘルマンは、セゴビアの許しを得てその構造を探求し、出来た作品を彼に見せていたが、1937年に完成した楽器はセゴビアをして「これこそ世界一のギターだ。これ以上のものは作らなくてもいい」とまで言わしめるまでになり、セゴビアは長年使ってきたマヌエル・ラミレスからこの楽器へと持ち替えることになる。これにより彼はトーレスがギターの型を確立して以後の、スペイン人以外で最初の名工になったのである。1946年にハウザー一家はミュンヘンからライスバッハに移住し、後を継ぐことになる息子ハウザーⅡ世と共にⅠ世として製作に専念した。ヘルマン・ハウザーⅠ世の全製作本数は約500本で、そのうち約250本がスパニッシュスタイルで製作されている。

 

歴史的名工たち


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