HOMEエッセイguitarra-espanola > アルカンヘル・フェルナンデス  Arcangel Fernandez (1931~)
アルカンヘル・フェルナンデス  Arcangel Fernandez (1931~)

マドリッドの中心部の南東の庶民的な地区、ラバピエスで生まれた彼は少年期に映画スターを夢みて数本の映画にも出演したが、13歳のころ家具職人としての職につき、趣味でギターを弾き始めた。そして忽ち腕をあげた彼はやがてフラメンコギタリストとしても様々な仕事を手掛ける様になる。やがて兵役を終えたのち、彼はギタリストの道を歩む事を決意して、良い楽器を物色するため、名工として名を馳せていた近所にあるマルセロ・バルベロの工房に足しげく通う様になって行った。しかし演奏の仕事は思うに任せぬことも多く、迷いがあった彼にマルセロは工房に入ることを勧め、アルカンヘルは当初は演奏の仕事も続けながら働くことを条件にそれを受け入れた。

ところが唯一の弟子として仕事を始めると、演奏ができ家具職の知識もあった彼は、マルセロの楽器に何か秘密が隠されているのではないかと強い好奇心を抱いて、瞬く間にマルセロの片腕となる程までに成長を遂げて行ったのである。

こうして順風満帆に新たな道を歩み始めた矢先の1956年、マルセロは当時中学生だった息子(マルセロ・バルベロ・イーホ)を残して急逝。アルカンヘルは2年弱の間に学んだことを礎に、未亡人の依頼に応えて残された注文分を製作することになる。そして1957年にそのすべてを完成した彼は、師の工房の近くヘスス・イ・マリア通りに工房を構えて自らのラベルで製作を始め、此処で2011年まで自分の製作態度を守り続ける頑固で一徹な製作家として素晴らしい作品を残している。

スペインのギター製作界の中心であったその地で生まれた彼の楽器は、その極端に少ない製作本数故に知る人ぞ知る幻の銘器とスペインでは言われている。

 

歴史的名工たち


guitarra-espanola+guitarra-espanola+エッセイ+yomimono+https://www.auranet.jp/salon/yomimono/guitarra-espanola/+https://auranet.jp/salon/yomimono/guitarra-espanola/