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アントニオ・マリン Antonio Marin (1933~) 

グラナダで楽器とは縁のない家系に生まれた彼は幼い頃から、寄木細工の工房で働き始めるが、1959年に父の勧めもありエドゥアルド・フェレールのギター工房で製作の仕事を始め、その工房で数年間学んだ後1961年には独立し工房を持つことになる。そこは当時同門としてフェレールからグラナダ派の音作りの特徴と製作技法を学んだマヌエル・ベジードと共同の工房であったが、彼の意識の中では徐々にアンダルシア地方の色彩濃い楽器とは異なる、より普遍的な音色への希求が高まっていた。そしてその思いはコンサートフラメンコ奏者として著名なマヌエル・カーノの共感を呼び、コレクターとしても知られる彼から銘器のメンテナンスや修理を任され、その楽器を参考に新たな道への模索を続けていた。

その様な折1977年に、或る日本人の紹介で彼はフランスへ赴き、トーレスの精神と技法を発展させた名工ロベール・ブーシェと出会う機会を得る。そしてその才能に驚いたブーシェはヘッドとラベルのデザインの提供し、その後グラナダを訪問して1か月指導をしたうえ、更に1979年に彼を再び3か月間フランスに呼んでいる。

その折比類ない技量と完成度で3本のギターを完成させ、ブーシェに真の後継者として認められた彼は、それを機に同年にアルハンブラ宮殿から市街地へと戻るカイデロ坂を下りきった角にある場所に工房を移すことを決意し、現在も彼はその工房で製作と指導に励んでいる。その周辺には甥のホセ・マリンをはじめ多くの有望な弟子とマリンの人柄を慕い集まった国内外の有能な製作家たちが、マリンと共に今もその文化を守っている。

 

歴史的名工たち


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