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アントニオ・デ・トーレス Antonio de Torres (1817~1892)

アントニオ・デ・トーレスは、古く長い伝統を持つスパニッシュギターの製作法を研究、豊かな音量と多彩な音色を生み出す大型のボディと構造を創始し、コンサート・ギターを確立して現代ギターの礎を築いた、ギター製作界のストラディヴァリと称される巨匠である。

1817年アルメリア市郊外で生まれた彼は、21才の頃から市内で指物大工の職につき木材に関する豊かな知識と木工技術の基本を身につけ、1842年頃にはグラナダに移り住み身につけた木工技術を生かしてホセ・ぺルナスの工房でギター製作を始めている。

その後1845年最初の夫人を病で失った後は独自に演奏法や製作技法の研究に専念し、1852年からセビリアに移りセラへリア通り32番地に自身の工房を開設している。そして1870年頃ギター製作のため私財を使い果たした彼は、セビリアからアルメリアへ戻り陶器と硝子製品の店を出すことになるが、ギター製作を再開したのは1875年になってからで、1882年には生地のアルメリア市郊外に移り他界するまで製作を続けた。

因みに52年から69年までのセビリア時代を彼の製作における第1期、この75年から没年の92年までが製作の趣きが異なる第2期と位置付けられ、N0.1からギターに連続番号を付しN0.155が最終となっている。

トーレスのギターを最初に使用した演奏家はフリアン・アルカスで、彼はトーレスの良き友として共に仕事や旅をして、この天才を生涯励まし続けた。そしてギタリスト、作曲家として最も偉大な一人フランシスコ・タレガもまたトーレスを愛用し、彼のギターによってその才能を開花させ、後進への道を示したのである。

歴史的名工たち


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