小鉋または豆鉋です。どちらにも呼ばれますし、サイズによる呼称の区分けも厳密にはありませんが、豆鉋は指先で隠れるぐらい小さいものを指すことが多いようです。
写真のものは「豆」と呼ぶには空豆よりもずっと大きく、それぞれ50ミリ強の大きさです。比較のために、真ん中にギターのナットを置いてみました。ちょうどネック幅くらいと思っていただければわかりやすいでしょう。
両方とも主に力木を成形するために、鉋刃を手に 入れ、鉋台を自作しました。ポイントは鉋の横の部分、小端を刃口のところまで削り込んで、左右どちらからでも削れる、際(きわ)鉋に近い形にしてあります。そうすることで、接着された力木の隅まで削ることができます。一般的にセメ鉋と呼ばれます。
左側の鉋刃は、小鉋の名工、丸山銀次さんの作品です。鉋身の黒い部分にメロンのようなシワ模様があるのが特徴です。右側は銘はありませんが、刃物専門店で購入しました。今では入手しにくい良い鉋刃です。現在ネック削りの方で活躍しています。
鉋の大きさ・形は、用途に応じて多種多様です。小さい用材を削るのに大きな鉋は機動性に欠け、使いにくいですし、逆に大きな用材に小さな鉋は不合理です。したがって用材の大小に合わせて、鉋も大きさが多様になります。小さな部位の加工一つに対して一つの鉋が必要なくらいです。このため、安くて質の良い小さい鉋刃が求められることになります。