去る2016年3月6日(日) ギターショップアウラ第2試奏室で「対話と演奏」第3弾を開催しました。

「対話と演奏」の副題を付けたシリーズも今回で3回目。

その時の演奏者、そして愛器を見て、そこから得られるイメージを基にその都度テーマを考えてきましたが、その過程で少しずつ奏者が、「その楽器」を使う理由は簡単な様でいて、実は色々な要因が秘められているとの思いを新たにしました。

製作家の使う素材の多様さは言うまでも無く、技量やコンセプト、その人生の軌跡に至るまでが反映される楽器に、同様に芸術性や技量を問われる演奏家が出会うことは、何か運命的な予兆をはらんだ偶然の積み重なりのなせる業とも言えそう。

そこに想像でしか埋めようのない「物語」が内包しているとしたら、私たちはその道の専門家を交えて、その紡いだ物語が見当違いなものにならぬ様、様々な可能性を検証していく必要があるのだと思います。

幸いにも現在日本の製作家の中にはスペインの伝統的な工法を習得し、それに拘り製作をしている人が少ないながら増えて来ました。
アウラが懇意にしている、そうした邦人手工製作家達を水先案内人としての座談会は幸いにも好評です。そしてこれからもこのシリーズを発展させ、聴衆の皆さまと共に楽器の持つ魅力の秘密を紐解いていければと思っています。

今回お迎えした奏者は、アルゼンチンを代表するギタリスト レオナルド・ブラーボ氏、そして使用楽器は、エルナンデス・イ・アグアド。通称「アグアド」として皆様ご存知の名器です。

当日の模様を動画にてお楽しみください。

演奏レオナルド・ブラーボ

また、当日はコンサート終演後、レオナルド・ブラーボ氏、製作家尾野薫、田邊雅啓、清水優一の3名と当日観覧頂いたお客様の中からご希望のお客様が参加しアフタートークを開催しました。

アグアドは、ただのニス塗り職人だったのか

彼らは何故ピアノ職人からギターの製作へと転身したのか。
エルナンデスとアグアドの二人とデ・ラ・マーサとの出会い。
エルナンデス・イ・アグアドの楽器はなぜエルナンデスと言わずアグアドと呼ばれるのか。

日本のギター製作界に与えた影響は。
ナットを黒檀と骨を接合して作ったのは只の装飾なのか、はたまたそのナットを入れる溝の幅を大きく取ったことには意味があるのか。
フレッチングに関しての問題とその課題に取り組んだ日本の製作家たち。
ベレサール・ガルシアのヘッドデザイン作成の秘話。
材料にピアノの響板や古い家具を用いたというのは本当か。

アグアドが病に倒れたのち、マルセリーノ・ロペスは一体何本のアグアドブランドのギターを製作したのか。

専門家を交え、非常に興味深い話を参加者の皆様で語り合いました。

終了後参加者から大変ご好評を頂きました。

次回の「対話と演奏」鋭意企画中で御座います。

お楽しみに!