一般的な注意点

  • 自分の好きな音のイメージをはっきり持つ

次々にギターを弾き比べてみるだけでは、だんだんどれがよいのか分からなくなってしまいます。
自分はギターのどんな音にひかれるのかということを、頭のどこかに置いておくとよいでしょう。

  • 他の人にも弾いてもらう

自分で弾いた印象と、少し離れたときの印象が、かなり異なる場合があります。
自分でしっかりした音を出せない場合はもちろんのこと、決める前に他の人に弾いてもらって、聴いてみられることをおすすめします。

  • 張ってある弦が違うと響きが変わることがある

弦の種類と張ってからの期間も、異なった印象を与える要素のひとつです。
新しい低音弦は明解な鳴り方をしますが、逆に高音弦は落ち着くまで伸びるため、初めはむしろぼやけた響きと なります。
低音弦は消耗しやすいので、早ければ張って数日で音の輝きを失ってしまいますが、その時点の方が響きが落ち 着く場合もあります。
メーカーよってもかなり差が出ることがありますので、参考に「弦はどれを選んだらよいか」をご覧下さい。

  • 弾く人によって音はかなり違う

ギターの音は、弾く人の技量、爪の削り方、爪の硬さ、皮膚の状態等に大きく左右されます。 強いタッチのときに力強い張りのある音が出るギターは、繊細なタッチの奏者では良さを生かすことができません。 逆に繊細さを身上とする張りの弱いギターを強いタッチで弾いたのでは、ぶちこわしになってしまいます。

  • いわゆる「選び方」は参考程度にする

現在、ネックの反り等の基本的な性能に問題があるようなギターが店頭に並ぶことはまずありません。
調整の必要が生じても、経験を積んだ製作家にまかせれば、ほとんどの場合解決できます。
やはり、最終的には音に納得できるかどうかです。
他の人の意見もあくまで参考として聞くべきで、納得がいかないまま決めてしまうことは避けましょう。

  • 選ぶ場所によって響きは変わる

ご自宅の別の部屋で弾いたとき、印象が変わることに驚かれたことはありませんか。
はじめて行く店で、いきなり弾いて適切な選択をするというのは、なかなか難しいことです。
できれば何回か通って、冷静な耳で選びたいものです。

価格について

  • メーカー量産品の価格帯について

国産品、輸入品いずれも4万~30万円位の価格帯のものが基本的に量産品となります。量産品は個体差が少なく、均質で比較的丈夫に作られているので、何を購入したらよいか迷ったときに取り敢えず手軽にお求め頂くのにはちょうどよいカテゴリーと言えるでしょう。
価格の違いは大まかに、使用している木材や装着されている部品(糸巻、ナット、サドル材など)の種類、グレード、またボディを形成している木材が単板か合板かなどによって決められていきます。
あくまで目安ですが、定価15~20万くらいから上の価格帯がオール単板(表面板と横裏板のすべてが単板仕様のもの)のギター、その下の価格帯は表面板が単板で横裏板が合板の仕様のギターというように分けられています。なるべくコストを下げて、でも音の響きはやっぱりいいものを求めたい、という方はこのオール単板のギターから選んでみるとよいでしょう。

メーカー量産品はプライベートブランドの楽器も含め、パーツを他のメーカーに依頼して組み立てたり、最近では中国やアジアの国のOEMメーカーが製造している場合が多く見られるようになりました。有名ブランドですとその場合でもしっかりと監修が行き届いているのでほとんど心配はないですが、なかにはごくまれにOEMの品質が低く、そのブランドの特性やアベレージが全く保持されていないものも散見されますので購入時にはショップスタッフによく確認しましょう。

  • 工房品・ワークショップモデル

エントリーモデルは金額に比例して材質や作りが良くなってゆきます。
30万~70万の中級~中上級モデルの価格帯では量産メーカーの優れた職工が個人ブランドとして製作したり、有名楽器工房が入門者向けに発表しているラインナップが展開されており、いわゆる工房品、ワークショップモデルとして普及している半手工品になります。
ある程度の生産本数を維持するため機械を効率よく使用し、塗装なども吹き付けにより素早く均質な加工がされていることがほとんどですが、音に直接関係する表面板の加工等は手作業で行われています。
それだけに音質、音響、音量の点で30万までの量産モデルとは一線を画すものが聞かれるようになります。

  • 手工品、個人製作家の作品

材の選定から加工、組み立て、塗装と全ての工程が一人の製作家により入念に施されたもので(弟子が工程のいくつかを手伝うなど一部共同作業の場合もあります)、いわゆる個人製作家による完全手工品と呼ばれるものです。
邦人製作家のものでは30万~200万、海外製作家のものでは100万前後から500万の価格帯で国内の市場では販売されています。
価格を決める共通の絶対的な基準というものは実際にはありませんが、ブランドの知名度やそれまでの実績と評価、使用している木材や部品のグレード、工作精度の高さ等々様々の点から決められていきます。
品質に関してはある程度値段相応とも言えますが、個人製作品は1本1本の個性が強く、一概に設定価格とそのギターの総合的なクオリティとが等価であるとは言えない部分があります。
購入を検討する際は、できれば実際にその個体を試奏し、価格に関係なく自身の演奏への物理的そして感性的な面でのフィット感を優先して選ぶとよいでしょう。

始めてギターを買う方(量産普及モデルのご案内)

これからギターを始める方が初めてギターを買う場合は、何時まで続けられるかと言う気持ちもあり、先ずは出来るだけ安いいものを求めようと言う気持ちになりがちです。
しかし安いと言うだけで、ショップやギターを選ぶと粗悪な楽器を買う羽目になりかねません。
あまりに安価なものは作りが雑なものが多く、ネックの調整不良やフレットの処理が悪くチューニングが合わなかったり、演奏に支障が有ったり、手の故障や怪我の原因となる場合もあるので注意が必要です。
経験を積むことによりギターの良し悪しを判断できる様になるまで、初心者の方は信頼のおける専門店や専門家のアドバイスを参考にして購入することをお勧めします。
購入にあたって、基本的にエントリーモデルは金額に比例して材質や作りが良くなって来ますので、一定期間練習に差し支えない様に概ね、4万円以上のご予算を考えて頂くことをお勧めします。
また、工業製品同様、近年中国や東南アジアの楽器も年々品質が上がって来ていますが、長い歴史を持ち、木材の加工に相応しい気候風土を有するヨーロッパの老舗ブランドの楽器をお勧めします。

  • 輸入品:クレモナについて

1924年創業のブルガリアの老舗。長い歴史を持ち、ヨーロッパを主な拠点として生産しています。
価格は5万円から20万円まで。
お求めは下記のサイトから
クレモナギターのご購入

  • 輸入品:マルティネスについて

マルティネスは1978年にヴォルフガング・イェリングハウスによりドイツで創設されました。
2005年にはアメリカの製作家が工場ライン設計や技術指導、製品監修をして生産拠点を中国に移しています。
お求めは下記のサイトから
マルティネスギターのご購入

  • 国産:小平について

多くのブランドが海外生産にシフトする中で小平は唯一国内生産にこだわり続け、日本ブランドらしい、細部まで丹念な工作精度への心配りが行き届いた製作しています。

価格帯は7万円から15万円。詳しくは下記のサイトをご覧ください。
小平ギターのご購入

チャイルドギター について

  • 体格の小さなお子様には、無理なく練習が出来る様、ボディーと弦長を縮めた、チャイルドギターでの練習が好ましいと言えます。
  • しかし身体の成長に合わせて大きいサイズに買い替えが必要になること、また、高価な楽器でもサイズの問題で豊かな共鳴音が物理的に得られないことがあるため、一般的には良心的な量産モデルの中から選ぶ場合が多いと言えます。
  • クレモナ
    成人用の普通サイズのノウハウを活かした、コストパフォーマンスの高い楽器です。
    また、楽器の適正なパフォーマンスが得られるロイヤルクラシック社製のチャイルド専用弦をサービスとして付いています。
    クレモナ チャイルドギターのご案内
  • マルティネス
    マルティネスチャイルドギターのご案内

手工品入門モデルについて

  • 手工品、個人製作家の作品

入門用ギターで練習を積んでいくと、技術や知識が増えて楽器に対する要求もそれに応じて大きくなって来ます。
しかしいきなり高額な手工楽器を購入するのは、好みがまだ明確でなかったり、予算的に問題がある場合、先ずは手工品でリーズナブルな価格設定をしている邦人の製作家の作品をお求め頂くのも一つの選択肢となります。

  • 手工品、個人製作家のエントリーモデル

材の選定から加工、組み立て、塗装と全ての工程が一人の製作家により入念に施されたもので(弟子が工程のいくつかを手伝うなど一部共同作業の場合もあります)、いわゆる個人製作家による完全手工品と呼ばれるものです。
価格についてのページでご案内の取り、値段はブランドの知名度やそれまでの実績と評価、使用している木材や部品のグレード等々様々の点から決められていきます。
邦人製作家のもので30万~50万程度の価格帯のなかには、材質等に関してある程度は値段相応とも言えますが、個人製作品は1本1本の個性が強く、一概に設定価格とそのギターの総合的なクオリティとが等価であるとは言えない部分があります。購入を検討する際は、できれば実際にその個体を試奏し、価格に関係なく自身の演奏への物理的そして感性的な面でのフィット感を優先して選ぶとよいでしょう。

込山 修一  Shuichi Komiyama

1993年新堀芸術学院・ギター製作科」に入学。卒業後、スタッフとして製作を担当し2008年ギター工房を構え独立。その後、日本を代表するスペイン伝統工法の製作家であるA.ネジメ氏や尾野薫氏に伝統工法を学んでいる。

星 光治 Mitsuharu Hoshi
最初は独学で楽器製作を開始。のちに製作家尾野薫の指導の下、本格的なギター製作を基礎から学ぶ。年間製作本数わずか2本の寡作ながら、一作ごとに高い評価を得ている。

山根 淳志 Atsushi Yamane
国立音楽院ギタークラフト科に入学、ギターの製作・修理・調整を学ぶ。卒業後2009年に地元佐野市で独立して自らの工房を開設する。
ロマニリョスのモデルをベースにして、ギター・ウクレレの製作や修理で培った経験と評価を活かした作品を伝統工法を基本にして製作している。

黒澤 哲郎 Tetsuo Kurosawa
1976年茨城県生まれ。製作家の父黒沢澄雄氏の薫陶を受けると共に、東京都立工芸高等学校後ギター製作に携わり卒業。その後1997年にスペインへ渡り、テサーノス・ペレスの工房へ弟子入した他、アントニオ・マリン工房にて塗装技術を学んで帰国。マヌエル・ラミレスやヴィセンテ・カマチョなど規範としながら、スペインの伝統的なニュアンスを彼なりに消化した堅実な造りで製作を続けている。

箭内 ショウイチ  Shoichi Yanai
野辺成一氏に楽器製作を師事。現在は尾野薫氏にもアドバイスを仰ぎながら、全ての工程を手作業で地道にギター製作を続けている。20世紀前半の伝統的なギターに傾倒。年に一本ほどの寡作ながら、アウラでは継続して紹介し続けている製作家のひとり。 

柳橋 博孝 Hirotaka Yanagibashi
群馬県立高等技術専門校木工科にて木工技術を学び、その後吾妻郡長野原町北軽井沢にて工房を開設し家具製作を始める。
趣味でフラメンコギターの演奏を楽しむ傍ら、自身の木工技術をベースに楽器製作を始めるようになり、製作技術を発展開花するため、その後尾野薫からの貴重なアドヴァイスを受けて製作をしている。

弾きやすさ

子供用などの特別なものを除けば、弦長630mmから665mmの楽器が製作されています。
弦長は、一般的には650mmから655mmが標準とみなされていますが、
男女を問わず、手の小さい方や開きにくい方には、630mmから640mmのものを検討してみてもよいかもしれません。
よく作られたものであれば、弦長が短くてもまったく性能に遜色ありません。

弦長630mmの在庫を確認する

弦長640mmの在庫を確認する

弦長だけでなく、ボディの大きさ、ネックの厚さと形状、指板の幅、弦高など、複数の要因が弾きやすさに影響します。
例えば、ネックが薄ければ弾きやすく、厚ければ弾きにくいと一概には言えず、形状が手に合うかどうかも大切な要素です。
また、初心者の場合、現在のレベルで弾きやすいか否かを的確に判断することは難しいかもしれません。
上達して手に柔軟性がついてくると解決する問題もあります。
張ってある弦の張りの強さによっても弾き易さは変わります。
弦のラベルにハードテンション、ハイテンションと表示されているものは張りが強く、ローテンション、ライトテンションというものは張りが弱く作られています。
張力の数値データだけでなく、楽器との相性が良いと弾きやすく感じられたり、逆に相性が悪くて弾きづらく感じられる場合もあり、心理的な影響もあるのかもしれません。

中古品は大丈夫か

中古品に不安を感じる方もいらっしゃると思いますが、価格に見合わないものが店頭に並ぶことは普通ありません。 中古品を購入する場合も、音に重点をおくことに変わりありません。 販売後にトラブルとなるような問題点があると、販売する側も気持ちの良いものではありませんから、あらかじめ 修理や再塗装を行うことがあります(古銘器は除く)。
またフレットの減りが激しい場合は入れ直すこともあります。きちんと調整されると、むしろ前より良くなる場合 すらあります。 なお、アウラでは、古銘器の場合はその性質上、手を加えずに販売しております。 ご購入が決まった時点で、お客様のご希望により調整させていただきます。
さて、中古品の良さは、新品に比べて遙かに安価であることの他に、新品より音がこなれている点と、張りが多少 弱くなっている点にあります。 しかし、長期間激しく弾かれたものでは、本来の良さが失われ、いわゆる「弾きつぶした」状態となっている場合 もあります。 名工の作であっても、時にこうしたものが見られます。骨董的な価値を求める方にはこれでもよいのでしょうが、 ご自分で弾かれる方は、お店の方ともよく相談してお決めになるのが良いでしょう。

最後に

後から手を加えても、音色は思うように変えられません。 ギターを選ぶときは何よりも音色を重視すべきです。 繰り返しになりますが、他人の意見は参考程度にして、最後はご自分が納得してお求めになるのが良い結果に通じる と思います。 よいギターに巡り会えますよう、私共もお手伝いさせていただきますので、疑問の点は遠慮なくお問い合わせ下さい。 質問・相談コーナーでもお待ちしております。