〔Kebony Maple仕様の楽器について〕
ノルウェー発のエコロジカルなコンセプトに基づいて開発された技術により、ハードウッドと同様の硬度や寸法安定性を備えた加工メイプル材であるが、楽器などへの使用についてはこれまであまり例はありませんでした。
しかし、枯渇が進んで来ている時代の趨勢を考え、南洋ハードウッド材の代替となる高水準な音響特性を備えたトーンウッドとして、2019年よりギターショップアウラにて独自にクラシックギターへの応用を試みを開始。
そして翌年の夏、尾野薫が中心となり、6人の製作家の共同作業として1本のギターが完成しました。
本器はその透明、高密度、豊かな音量とサスティーンと全体のバランス感は従来にはない音響特性を持つ、Kebony材の有用性を証明する証しとして高い評価を得ています。
現在、本年2024年に逝去した尾野薫を顕彰するため非売品として、ご希望の方には試奏頂ける様に店内に保管してあります。
ご希望の方はお問合せ下さい。
なお、現在ケボニー材は残念ながら入手困難となり、製作は現在不可能となったためこの計画は中断していますが、引き続き伝統工法を継承しつつ現代のニーズに合う研究は続けられています。
〔Kebony材について〕
1980~90年代にカナダ NEW BRUNSWICK大学の MARK H.SCHNEIDER博士により発明された技術をもとに、1997年にノルウェーで設立されたブランド<KEBONY>が本格的に材の作成と流通を開始。トウモロコシ由来のフリルアルコールを高音高圧浸透させることでソフトウッドをハードウッドに変える革新的な技術で、それによって作られた木材は現在主に建築などのエクステリア材として世界的に注目されています。Kebony化した木材は触感や調湿作用は天然木材と変わりありませんが、硬度や寸法安定性、耐腐朽性などが飛躍的に向上します。天然素材から抽出したアルコールを使用することにより、人体に悪影響がなく、廃棄後もリサイクルできる安全な素材です。また基材には、FSC やPEFC などの森林認証材を使用しているので、その生成の全工程において有毒有害な物質は一切使用せず、人間にも自然にも優しいオーガニックな木材としても高い評価を集めています。