ナイロン弦の製造法
高音弦は、やわらかい状態のナイロンを成型器から押し出して製造されるため、冷える過程で変形が避けられません。
このため、高い真円度をもち、直径が均一である弦を製造することはほとんど不可能に近く、実際には長い材料からギター弦として使える部分を切り出し、選別したものが販売されています。
選別が甘ければ、音程が悪かったり、キズがついた状態で販売されてしまいます。
残念ながら、現状ではこれを不良品としてメーカーが交換する仕組みはありません。
メーカーによっては、高音弦を研磨して真円度を高めたり、太さを均一に近づけたりしていますが、実際には研磨弦の方が精度が良いというわけでもありません。
また、包装された状態で精度を確認する方法はなく、定価が高い弦は精度がよいとか、値引率が大きい弦は精度が悪いというような相関もないと考えてよいでしょう。
低音弦は細いナイロンの束に金属線を巻きつけて製造されます。
この場合の精度はメーカーの技術力にかかっており、近年はコンピュータ制御による高精度生産を可能にしているメーカーもあります。
真鍮線を巻いたもの(ゴールド)は、太くて重量感がありますが、しなやかさに欠ける面があります。