
禰寝 碧海 2025年製 が入荷しました。
[楽器情報]
禰寝碧海 Nejime Marin 製作、オリジナルモデル ’Iglesia de Santa Maria de la Alhambra’2025年新作です。碧海氏は近年グラナダの街に因んだタイトルが付されたモデルを続けて発表しており、それはもちろん氏がアントニオ・マリンの工房で学んだ日々の極めてリアルな肌感覚や印象的風景に基づくもので、タイトルとその楽器との関係は絵画におけるそれさえも思わせるような、ある意味文学的なイマジネーションを喚起するものとなっています。さらにこれらのタイトルは決して楽器のイメージを安直に規定するような恣意的なものでは決してなく、それぞれの音響コンセプトとの連関もあるところはいかにも碧海氏らしい矜持の深さを感じさせます。
本作はあのアルハンブラ宮殿の中心に美しく建つ教会のイメージを纏った、氏の審美センスが十全に発揮された外観にまずは眼を惹かれてしまいます。バロック的な過剰さとは趣を異にするこの教会の壁に慎ましくも華やかにはめ込まれた色彩的な石のモザイクを、氏は本器のロゼッタにあしらってみせているのですが、その立体的で落ち着いた佇まいがなんとも素晴らしい。その他はヘッドプレートにも教会の尖塔部分を思わせる意匠がこれもさりげなく施されているのですが、その他は木材の質感を活かしきったシンプルな外観(まさに教会の佇まいを想起させるような)で一貫させています。そして深い艶を湛えたセラック塗装はいつもながらやはり見事なもので、世界屈指と言ってもよいのではないかと思うほどの完璧さで仕上げられており、特別な気品を楽器に付与しています。
いわゆる「グラナダ的」な音響に拘泥することなく、ここで表出される音響は敢えて言えばサントス・エルナンデスの室内楽的な音響を再構成、再創造したかのような新鮮な魅力に溢れたものとなっています。サントスにおいて異なる特性を有していた各音が同時になることで独特の彫塑性を生み出していたものが、本器においては完璧なまとまりの中でしかし各音がそれぞれのアイデンティティを表出するような、すぐれてクラシカルな音響設計が達成されています。慎ましくも美しく艶を湛えた音像が撥弦の瞬間に現れてくる、その一つ一つの整った形、音楽的な密度が素晴らしい。発音もやや強めの反発感を伴った、とても心地よい感触で、音がタッチを「連れてゆく」ような自然なドライブ感が生まれます。瞬発と終止の明確さ、シャープさと粘り、軽くも重くもなり、持続と余韻も申し分なく、音楽的な身振りの細部にまで楽音としてのニュアンスが行き渡り、タッチとのリニアニティは非常に高いものがあります。また音色そのものの、どこか奥ゆかしさを内包したようなためらいがちな明るさ、その自然な佇まいがなんとも魅力的。創作における全き個性と高い完成度が両立した、誠に瞠目すべき一本となっています。
ネック形状は普通の厚みのDシェイプでややフラットなグリップ感、弦高値は2.8/4.0mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は1.5~2.0mmあります。レゾナンスはF#の少し上に設定されています。重量は1.62㎏。糸巻はスペインの高級ブランド フステーロの「トーレス」タイプを装着し、優美なアクセントを演出しています。ラベルは今回初出となるオリジナルのもので、開かれた扉のイメージがなんとも清々しい、ブランドの出自を明確に表明する優れたデザインとなっています。
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