イグナシオ・フレタ1世 1962年 が入荷しました。

[楽器情報]
イグナシオ・フレタ1世 1962年製 No.251 の入荷です。
クラシックギターにおいて他に類するものがないと言えるほどに独特な音圧の高さとオーディトリアム感があり、ほとんどギターではない別の何ものかのような異様な大きさを感じさせます。それはモダンギターのように「増幅された音量」ではなく、響箱の容量そのもののポテンシャルが顕在化したもので、明らかにそれまでのスパニッシュギターの伝統的な音作りからは異端ともいえるアプローチの音響設計がまずは特筆すべき点でしょう。

このオーディトリアム感(「リヴァーヴ感」「奥行き感」と言い換えてもよいのですが)はこれ自体にも濁りを含んでおらず、その空間性にも透徹としたところがあります。

そして音について、ここでフレタ1世はロマンティックという言葉が喚起するであろう音楽表現に必要なものをギターで可能な限り表出してみせます。その濃密な歌と艶やかな音、明と暗の表情の揺らぎなどは生々しいほどで、弾き手に音楽を(まさに演奏しているその中で)喚起する力があることなど、何よりもまずフレタが最上の表現楽器であることを如実に感じさせてくれます。非常な音圧の高さは大音量だけに特性を特化することなく、最弱音における繊細な機微も、フォルティシシモにおける豪放さもどちらも内包するものとして、つまり隅々まで音楽的な大きな拡がりとしての性質としてあり、ここには弦楽器製作者としての彼の出自とその矜持も見て取ることも可能でしょう。高音、中低音、低音の各部のアイデンティティがそれぞれ明確でありながら全体として有機的な一つのバランスに収まっているところなどはさすがにスパニッシュギター的な特性を感じさせますが、フレタにおいては例えば曲を演奏するときに各部の個性が際立ち、まさしく室内楽的な空間を形成してしまうようなところがあるのが特徴的です。

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