ヘルマン・ハウザー2世  1965年  が入荷しました。

[楽器情報]
ヘルマン・ハウザー2世 1965年製 セゴビアモデル No.763 の入荷です。
1952年に亡くなった1世の芸術性を継承し、熟成させるようにしてスパニッシュギターの洗練化(汎西洋化)を異様と言えるまでの集中力で行っていった2世は、その50年代の終わりにそうした1世的コンセプトの極点に達したのち、続く60年代の10年をたっぷりかけて自身のドイツ性を強めてゆくことになります。本作1965年製はまさにその中間点ともいえる時期のもので、1960年代ハウザーの一つの頂点を感じ取ることのできる1本となっています。

ハウザー特有の鍵盤的と言ってよいほどの整ったバランスですべての音が構築されており、旋律においては明確な線のつながりを、和声においては各音の構成を、対位法においては各声部の動きを、それぞれ機能的かつ極めて音楽的に表出するポテンシャル有しており、その完成度の高さは比類がありません。ハウザー好みの剛性の高いドイツ松(ハウザーストックの素晴らしい松材)と弦の弾性とが絶妙な案配でブレンドされることで、あの独特の硬質な粘りを持った発音となりますが、そこから生まれてくる凛とした音像がやはり素晴らしい。いかにもクラシカルに相応しい雰囲気を湛えつつ、おそらくこの時期のハウザー2世だけが持ちえたような厳格さがあり、ドイツ的音響のひとつの到達点を示す1本となっています。

本作は製作からおそらくはそれほど経っていない時期に全体のセラックによる再塗装が施されておりますが(オリジナルはおそらくラッカー塗装)、この変更によりハウザーの音響特性が減ずることはなく、ほのかに木質の触感を纏った響きとなっているところはかえって特別な魅力があります。

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