
ジェンナーロ・ファブリカトーレ 1827年製が入荷しました。
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[楽器情報]
ジェンナロ・ファブリカトーレ作 1827年製ロマンティックギター ヴィンテージの入荷です。ラベルにはToledo N.297とありトレド通297番地にあった工房で製作されています。当時かなりの生産本数でいくつかの工房を稼働させていたことから、本作もまたジェンナロ本人の作ではなく工房の職人による製作と思われます。しかしながらこの当時の弦楽器系有名工房の工作技術の異様な高さと芸術的完成度はここでも例にもれず、本作はその確かなクオリティの証左となる一本と言えます。
特徴的なボタニカルな模様を黒檀による木彫であしらった表面板の意匠はこのブランドの定番として知られ、多くの他ブランドでも取り入れられる代表的なデザインですが、やはりここでの仕事は見事。指板は有名なナポリ式(黒檀の指板が12フレット以降も表面板にフラットに組み込まれるように造作された様式)ではなく、13フレット以降は表面板に直接フレットが打ち込まれたいわゆるフラッシュボード仕様。ヘッドは木ペグではなくスロッテッドで機械式の糸巻を装着しています。そしてヘッドプレートから指板そして表面板パーフリングとロゼッタにいたるまでに施された白蝶貝による花模様の螺鈿細工。横裏板には野趣あふれる木目のカーリーメイプル(裏板はブックマッチなしの一枚板)をあしらい、全体は豪奢とエレガンスの素晴らしいバランスで仕上げられており、これは当時このブランドの最高級モデルとして出荷されていたもの。
音は深く、素朴で滋味にあふれ、そして表情豊か、誰もが思い描く19世紀サウンドを円満に備えた一本です。