
ギターのための「逍遥と跋渉」Op.236 が入荷しました。
「山の作曲家」近藤浩平が、山野を駆け巡る姿を音楽で描いた書き下ろし新作!
第69回東京国際ギターコンクール2026 本選課題曲
■ 収載曲
第1曲:山野逍遥(約4 分10 秒)
第2曲:山野跋渉(約5 分15 秒)
■ 作品紹介
《ギターのための「逍遥と跋渉」Op.236》は、〈山野逍遥〉と〈山野跋渉〉の2曲から構成されています。
「逍遥(しょうよう)」とは、気の向くままに自由に歩き回ること。
「跋渉(ばっしょう)」とは、山野を越え、川を渡ることを意味します。
■ 本作品について - 近藤浩平
ある目的地を決めて歩くのではなく、気の向くままに自由に歩き回ることを逍遙という。英語でWandering と言ったほうがわかりやすいかもしれない。ある特定の地域や山域を逍遙するという楽しみ方がある。山であれば、1 本の登山道で山頂を目指すのではなく、山麓から山頂まで、いろいろな尾根や谷筋、山間の草原、山麓や山腹の気になる場所、裏道などいろいろな所を歩くことで、その山の隅々の面白い所を探索し発見する楽しみがある。私の場合、自宅から近い六甲や能勢の山々を子供のころからずいぶん歩き回った。それぞれの山域には性格があって、特徴的な地質や地形、植生があり、その地域の道の付け方や山仕事のスタイルなど、どのルートをたどっても共通するものがある。六甲なら花崗岩の白い砂と松があり、北陸の山なら雪に埋もれ北風に吹かれる木々がある。京都北山なら炭焼きや植林の山仕事の形跡が奥深くまである。それにより、山の中での音の風景も個性がある。
[第1 曲:山野逍遥(Wandering)]
ある個性ある山域を歩き回るように、曲全体としては、その山域の個性のような響きやパターンがあり、その中を、ゆっくり歩いたり、少し駆けてみたりして味わうような音楽になっている。
[第2 曲:山野跋渉(Trail Running)]
跋渉となると山や川を越えてより速く遠くへ突き進む感がある。近年はトレイルランニングという楽しみ方をする人が増えて、野山を駆けまわる人が増えた。同じ山でも走るとまた風景が変わる。足下の石や木の根、段差や滑りやすさを見ながら足の置き場を瞬時に判断しつつ走るトレイルランニングには、平地を普通に走るのとは異なる、柔軟に歩幅や方向を切り替えながら駆け抜けていく伸縮し変化する身体のリズムの快感がある。そのような動物になって山野を駆け回るような野生を呼び起こすような楽しみを、演奏する人が味わうことができる音楽というものを書いてみたいと考えた。
■ 作曲期間:2024 年12 月12 日~ 2025 年2 月21 日
■ 第69 回東京国際ギターコンクール本選課題曲(2026 年)
■ 公益社団法人 日本ギター連盟委嘱作品
■ 菊倍判16頁
■ 作曲者プロフィール:近藤浩平(作曲家)
関西学院大学で音楽学を専攻。2010 年ベルリン・ドイツ・オペラ〈Klang der Welt Ostasien〉作曲コンクール第2 位(室内楽)。
左手のピアノ作品は舘野 泉氏、智内威雄氏による演奏機会が多く舘野 泉氏によりベルリン・フィルハーモニー室内楽ホールでも演奏された。
「ヴァイオリンと打楽器の為の協奏曲」は、ブダペスト祝祭管弦楽団の日曜コンサートで演奏された。
2016 年にはアリゾナ州にてKondo Festival が開催された。
「海辺の祈り~震災と原子炉の犠牲者への追悼」は世界各地で再演150 回を越える。
2024 年6 月にはパリとケルンでの福間洸太朗氏のリサイタルで演奏され「さまよえる魂のバレエ(Alain Cochard 氏)」と評された。
山田 岳氏独奏で初演されたギター協奏曲「旅するギター」、福村麻矢氏とパオロ・フェラーラ指揮の関西フィルにより初演されたピアノ協奏曲、會田瑞樹氏独奏、板倉康明氏指揮の現代奏造 Tokyo で初演されたヴィブラフォン協奏曲、大森香奈氏の独奏、松岡究氏指揮のアマービレフィルで初演されたマリンバ協奏曲「アオバトの森」、ノースダコタ大学室内オーケストラで初演された弦楽オーケストラのための「地平線と太陽」、室内楽、歌曲も多数発表、野村誠氏のための鍵盤ハーモニカ作品などもある。
ダムに沈んだ徳山村をテーマに杉浦菜々子氏によって委嘱初演された「ピアノソナタ第2 番『徳山村の記録』」は東京新聞、中日新聞で大きく記事となり、ピティナの公開録音「日本のピアノソナタ」でも取り上げられた。
映画「にしきたショパン」の音楽でマドリード国際映画祭最優秀作曲賞。
NTN 回る学校の音楽プログラムなども手がけた。
https://koheikondo.com
※現代ギター社サイトより引用(2025/07/28)