HOMEエッセイguitarra-espanola > マルセロ・バルベロⅠ世 Marcelo Barbero I (1904~1956)
マルセロ・バルベロⅠ世 Marcelo Barbero I (1904~1956)

マドリッドで生を受けた彼は、幼い頃から家庭の事情でホセ・ラミレスⅠ世の工房に見習いとして入るが、背は低いが筋肉質な躯体の青年として育ち、一時はプロのサッカーチームのメンバーとなり、プロボクサーの道も歩んだ。

やがてラミレスⅡ世の職工として活躍する様になった24歳頃になると、その片手間に音のバランスを念頭においてギターの力木について研究を続け、自身のラベルでの楽器も作る様になった。そして1943年にサントス・エルナンデスが亡くなると未亡人(ビウダ)は、サントスの名声を傷付けない技量を持つ職人として、保存してあった材料や、作りかけた表板や部材を用いてビウダのラベルで製作することを彼に依頼した。残された工具、治具、そしてサントスの仕事を手伝った未亡人のアドバイスなどもあり、その楽器のすばらしさに共感していたマルセロは、情熱を持って立派な作品を約3年間に渡り世に出していった。

こうしてサントスの後継者となった彼は、1948年頃よりトーレスの原点に戻り、立ち上がりの良さと音色の明るさを少し抑え、伸びのある滋味豊かな個性ある音色の銘器を作ってゆくが、1956年に52才の若さで突然他界。残念ながら作品の多くはシープレスのフラメンコで、ハカランダ材のギターは僅少で極めて入手困難である。生前彼の抱擁力ある暖かい人柄を慕って、多くの製作家が彼の工房を訪れており、マヌエル・レジェスやエドガー・メンヒの様な、後に名を成す名工たちもそのアドバイスを受けている。

そしてこの工房で手ほどきを受けたアルカンヘル・フェルナンデスが彼の後継者となり、子息のマルセロ・バルベロ・イーホと共に、その後のスペインギター製作界の中心的存在となってゆく。

 

歴史的名工たち


guitarra-espanola+guitarra-espanola+エッセイ+yomimono+https://www.auranet.jp/salon/yomimono/guitarra-espanola/+https://auranet.jp/salon/yomimono/guitarra-espanola/